我が家の鯛はうぉんたなぁ

私は神戸の生まれで、正月は毎年帰省しています。
電車に揺られ、年末特有のにぎわいに包まれて、帰省します。地元の旧友と集まり、くだらない話に花を咲かせるのも帰省の楽しみのひとつではありますが、何よりも楽しみなのは、正月の鯛です。
私がいま住んでいる地域は、あまり魚が美味しくありません。むしろ、まずいと言っても過言ではないでしょう。そんな地域で暮らしていると、生まれ育った神戸の魚が恋しくなるのです。正月に帰ると、我が家では「魚の棚」と呼ばれる明石の商店街で買ってきた大きな鯛が一尾、用意されています。子どもの頃から魚が好きだった私は、毎年毎年、尾頭付きの鯛の塩焼きを食べるのが楽しみでした。いくら魚が身近にあったとは言え、いつもいつも食べられるものではありません。
正月のように、めでたい時にしか食べられない贅沢品です。
「魚の棚」商店街は地元で「うぉんたな」と呼ばれています。おそらく訛ってそのように呼ばれているのでしょうが、私は今年も「うぉんたな」の鯛が食べられるのかと思うと今から楽しみで仕方ありません。
明石の鯛が美味しいのは、あの辺りの海流が速いために、しっかりと締まった身になるようです。また、尾頭付きの鯛で一番美味しいのは、頭周辺の身だと思います。
たとえばほほ肉は、脂の乗り具合とコリッとした食感が最高です。
一度食べてしまったら、もう他の鯛は食べられないと思います。