なにわの正月は黒鯛
お正月の食卓を飾る魚の王様といえば鯛。
お正月にかぎらず、お祝いの席では真っ赤な真鯛がつきものです。
もちろん切り身ではない、いわゆる尾頭付き。
その威風堂々とした姿は、味云々の前に見た目だけでめでたく、幸せな気分にさせてくれます。
ところで、かつて大阪商人の間ではお正月の鯛といえば、一般的な真鯛ではなくて黒鯛だったことをご存じでしょうか。
その理由は至極簡単なもので、
赤は商いの「赤字」を連想させられて、正月早々縁起が悪いので黒にしよう。
黒鯛なら「黒字」で商売繁盛間違いなしだろうという生粋の商売人発想から来たものでした。
現代でも大阪の商売人の家々がお正月に黒鯛をありがたがっているかどうかは、実は定かではありません。
個人的な推測を申し上げれば、
商人の町である一方で食いだおれの町としても名を馳せるなにわの味にうるさい人々が、
食味で真鯛よりもやや落ちる黒鯛をお正月の晴れの席の主役に選ぶとはなかなか思えません。
そう考えればもしかすると、
尾頭付きの真鯛を主役に迎えながら、
小ぶりな尾頭付きの黒鯛もちゃっかりと用意しているのではないでしょうか。
そして、そんな抜け目のないお正月を見れば、大黒様もうっかり微笑んでしまうのではないでしょうか。
ただ、大阪に40年以上住んでいながら、
年末のスーパーマーケットなどの鮮魚売り場や総菜コーナーで黒鯛が並んでいる光景を見た記憶がないことも、
あわせて書き留めておきます。
黒鯛を見た記憶がほとんどないことも
